介護タクシーとは
一般に介護タクシーと呼ばれていますが、実はこの名称は正式名称ではなく、道路運送法第4条に定める一般乗用旅客自動車運送事業(福祉輸送事業限定)が正式名称とされています。
同じようなものとしてNPO法人等が行う福祉有償運送事業(道路運送法79条の2)があり、これも介護タクシーと呼称するのでは混同しやすく紛らわしいため、当サイトにおいては、一般乗用旅客自動車運送事業(福祉輸送事業限定)のことを便宜上、介護タクシーと呼び使用していきます。
介護タクシーは、街中や駅でよく見かける旅客対象者(お客様)に限定がない法人タクシーや個人タクシーと違い、以下のとおり、旅客対象者(お客様)が限定されています。
介護タクシーの旅客対象者:
(1)介護保険法にいう「要介護者」「要支援者」、身体障害福祉法にいう「身体障害者」
(2)上記(1)のほか、肢体不自由、内部障害(人工透析と受けている場合を含む。)、精神障害、知的障害等により単独での移動が困難な者であって、単独では公共交通機関等の利用が困難なもの
(3)消防機関又は消防機関と連携するコールセンターを介して、患者等搬送事業者による搬送サービスの提供を受ける患者
上記以外のお客様を乗せることはできないため、許可の条件として、一般乗用旅客自動車運送事業(福祉輸送限定)と限定許可になります。
また、介護タクシーは、介護保険の適用を受けている要介護者等の高齢者やお体の不自由な方 向けに輸送を行う点で旅客に限定のない一般のタクシーと旅客対象が異なります。
車両についても、車両後部にスロープを設置し車椅子の方でも楽々乗降できる福祉装備を設置している車両がよく見かけられます。
介護タクシー事業を始めるには
介護タクシー事業の許可を取得するためには、一定の許可要件があり、その許可要件に全て合致するよう準備を進めていくことが必要です。
特に、事業に必要な営業所等の事務所、車庫、車両等を購入あるいは賃貸する場合は、初期投資費用がかかりますので、失敗は許されません。
許可要件に該当していない場合は、数か月かかって不許可になれば時間のロスになり、また初期投資費用が無駄になりますので、十分な要件確認が必要です。
一度、介護タクシー事業の許可要件についてご参照ください。
また、個人事業者であるか、または指定を受けている訪問介護事業者であるかによって、以下のとおり介護保険付きの介護タクシー事業を行えるか異なります。
個人事業者の場合
⇒ 介護タクシー事業のみ開設可能です。
※介護保険付介護タクシーを行うには、訪問介護または居宅介護の指定を取得することが必要。
訪問介護事業者または(障害者総合支援)居宅介護事業者
⇒ 介護タクシー事業のほか、介護保険付介護タクシーのどちらも開設可能です。
介護保険付きの介護タクシー事業の詳細は、こちらもご参照ください。
介護タクシー事業の位置付け
介護タクシー事業に参入するにあたって、自分が行う事業が法律上どのような位置付けになっているか理解しておきましょう。法令試験の出題される範囲を理解する前提としてその基本的な位置づけぐらいは知っておきたいものです。
なお以下、「法」と記載されているのは「道路運送法」の略です。
一.旅客自動車運送事業(2種免許が必要)
1.一般乗用旅客自動車運送事業
(1)一般乗合旅客自動車運送事業(法4条・許可)(乗合バス)
(2)一般貸切旅客自動車運送事業(法4条・許可)(貸切バス)
(3)一般乗用旅客自動車運送事業(法4条・許可)(タクシー)
ア.法人タクシー事業
イ.個人タクシー事業(1人1車制)事業
ウ.福祉輸送限定事業(いわゆる介護タクシー)
↓
ヘルパーの自家用車による有償運送(法78条3号・許可)
許可条件:以下のいずれにも該当すること
・4条あるいは43条の許可を受けていること
・訪問介護事業、又は居宅介護事業の指定を受けていること。
二.特定旅客自動車運送事業(法43条・許可)
介護事業者の指定を受けている事業者
※個人事業者や訪問介護等の指定事業者でない場合は参入不可。
三.NPO法人等による自家用自動車による有償運送(法79条・登録) (1種免許で可能)
NPO、社会福祉法人等の法人格を有している法人に限定。株式会社や個人事業者は参入不可
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